日本基礎心理学会第38回大会で「文脈手がかりは視覚探索処理の初期段階を促進する」というタイトルでポスター発表を行いました(小林穂波)

M1の小林です。12/1に神戸大学で開催された日本基礎心理学会第38回大会で研究発表をしました。

【研究内容】

視覚探索課題で空間配置を繰り返して呈示すると学習が起こり、探索が促進される、という文脈手がかり効果について研究をしています。文脈手がかり効果は非常によく知られた効果ですが、この効果によって視覚探索課題における初期段階の処理(探索を開始してから標的を見つけるまで)が促進されるかどうか、については議論が続いています。本研究ではSAT課題と呼ばれる正答率を指標とする課題を用いて、文脈手がかり効果による促進の経時変化を検証しました。さらに、この経時変化をベイズ階層モデリングの手法を用いて、数理的に表現することを試みました。
今回の研究で、文脈手がかり効果による促進は、探索画面が呈示されてから少ししか時間が経過していないときでも正答率にあらわれることがわかりました。このことは、視覚探索課題に関わる処理のうち、初期段階が促進されていることを示唆しています。

【感想】

自分がこれまでやってきたなかで一番好きな研究なので、尊敬する先輩たちが多くいらっしゃっていた基礎心理学会で発表できてほんとうにうれしかったです。今後の展開に期待している、とコメントをいただいたので、努力を怠らずに実験を続けていきたいと考えています。

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日本基礎心理学会第38回大会で「社会的地位と空間的表象の潜在的連合」というタイトルでポスター発表を行いました(長谷川凜人)

M1の長谷川凜人です。
12/1に神戸大学で開催された日本基礎心理学会第38回大会で研究発表をしました。

【研究内容】

社会的地位と空間的表象には連合があると言われています。本研究では、Lu et al.(2014)で示された知見を基に、敬語で示された社会的地位と空間的表象に連合があるかどうかについて検討しました。加えて、この連合に実験以前の単語の知識・使用頻度などが影響しているかどうかについて検討しました。
本研究では、まず実験で使用する単語についての質問(既知か否か、使用頻度、見聞きする頻度)を行いました。その後、単語の判断(尊敬語/謙譲語)に続けて矢印の判断(上下)を行う課題を用いました。
実験の結果、高地位を示す尊敬語の事前呈示後は上向き矢印の判断が速くなり、低地位を示す謙譲語の事前呈示後は下向き矢印の判断が速くなっていました。この事から、敬語で示された社会的地位と空間的表象に連合がある事が示されました。
ただ、実験以前の単語の知識・使用頻度・見聞きする頻度は連合には影響していませんでした。この点については、現在検討中です。

【感想】

本大会が学会発表デビューでした。研究を展開していくにあたって、非常に為になる意見を頂けました。今後もできる限り実験を行い、社会的地位と空間的表象の連合というテーマを追究していきます。

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Object Perception, Attention & Memory (OPAM)で「A Bayesian Hierarchical Model of Flanker Interference」というタイトルでポスター発表を行いました(小林穂波)

M1の小林です。 11/14にカナダ・モントリオールで開催されたObject Perception, Attention & Memory (OPAM) で研究発表をしました。

【研究内容】

わたしたちの周囲にはたくさんの視覚情報がありますが、それらすべてを一度に処理することはできません。そこで、視覚的注意という選択システムをつかって、必要な情報を選択することが必要になります。特に空間的な情報に基づいて選択をするメカニズムのことを、空間的注意と呼びます。この空間的注意の特性を調べるために、古くから用いられてきたのがフランカー課題です。今回の研究では、フランカー課題における注意選択の過程を数理的に表現することを試みました。
過去の研究では、フランカー課題の試行の最初には、画面に表示されている刺激全体に広く注意が分散しており、試行内の時間経過に伴って、注意が中央の標的刺激に向けて収斂していく「縮小スポットライトモデル」が提案されていました。わたしたちは「フランカー課題の刺激間距離が広がると、妨害刺激からの干渉が減少する」という刺激間距離の効果を説明できるようにこのモデルを拡張しました。さらに、これまで刺激間距離の広がりに伴う干渉の減少は正規分布にたとえられることがほとんどでしたが、今回の研究で、正規分布よりもさらに中心への収斂度が高く、かつ裾の重い分布にたとえるほうがデータを適切に表現できる可能性を示唆しました。

【感想】

多くの人に来ていただけて、とても充実した発表になりました。古典的な課題であるフランカー課題を使って何か新しいことをやろうとしている、という点を評価してもらったように思います。特に今回は共同研究者として経験のある先輩・先生と一緒に発表準備を進めることができ、学ぶことの多い学会になりました。他の発表も新鮮なものが多く、来年もぜひ参加したいと感じました。

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発表予定:日本基礎心理学会第38回大会

2019年11月29日〜12月1日に開催される日本基礎心理学会第38回大会において、当研究室の大学院生3名が成果発表を行います。いずれもポスター発表です。

  • 小林穂波・小川洋和 (2019/12/1). 文脈手がかりは視覚探索処理の初期段階を促進する. 日本基礎心理学会第38回大会, 神戸大学(兵庫県神戸市)
  • 白井理沙子・小川洋和 (2019/12/1). 顔に付与した道徳違反に関する情報がクラウディングに及ぼす影響. 日本基礎心理学会第38回大会, 神戸大学(兵庫県神戸市)
  • 長谷川凜人・小川洋和 (2019/12/1). 社会的地位と空間的表象の潜在的連合 . 日本基礎心理学会第38回大会, 神戸大学(兵庫県神戸市)

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発表予定:関西心理学会第131回大会

2019年11月10日に開催される関西心理学会第131回大会において、当研究室の大学院生2名が成果発表を行います。いずれも口頭発表です。

  • 小林穂波・小川洋和 (2019/11/10).読み方向のプライミングが単語の並列処理を促進する.関西心理学会第131回大会,大阪教育大学 天王寺キャンパス(大阪府大阪市)
  • 白井理沙子・小川洋和 (2019/11/10).皮膚関連傷病のプライミングが集合体画像の評価に及ぼす影響.関西心理学会第131回大会,大阪教育大学 天王寺キャンパス(大阪府大阪市).
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ゼミ分属に関わる面談について

現在,総合心理科学科心理科学専修では,次年度のゼミ分属の手続きが進められています。小川ゼミへの分属を検討しているが,なんらかの理由でゼミごとの説明会に出席できなかった人については,個別の面談で対応します。

面談予約について のページから私の予定を確認した上,氏名と面談希望日時およびゼミ別説明会に出席できなかった理由を添えてメールで連絡してください。なお,ゼミ別説明会に出席した上で,さらに聞きたいことがあるという場合でも面談を受け付けます。

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発表予定:OPAM27

2019年11月14日にMontrealで開催されるObject, Perception, Attention, and Memory (OPAM) workshop において、当研究室の大学院生小林穂波さんが成果発表(ポスター)を行います。武藤拓之さん(立命館大学),清水裕士さん(関西学院大学)との共同研究です。

Kobayashi, H., Muto, H., Shimizu, H., & Ogawa, H. (2019/11/14). A Bayesian hierarchical diffusion model of flanker interference. Paper presented at the Object Perception, Attention, & Memory (OPAM), Montreal, Canada.

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第7回KG-RCSP合同ゼミ

7月31日に第7回KG-RCSP合同ゼミを開催します。当研究室の大学院生 白井理沙子さんが話題提供をする予定です。興味のある方は是非ご参加ください。詳しくはこちらから。

【日時】2019年7月31日(水) 13:00-17:30
【場所】関西学院大学西宮上ケ原キャンパス E号館102教室

第1部:ゼミメンバーによる発表

13:10-14:00 白井理沙子(関西学院大学小川ゼミD3)
  直観的な道徳判断の基盤となる知覚・認知処理の役割の解明

14:05-14:55 大工泰裕(大阪大学社会心理学研究室D3)
  詐欺の手口に関する情報が詐欺への抵抗に及ぼす影響

15:00-15:50 中村早希(関西学院大学小川ゼミ大学院研究員・大学院奨励研究員)
  複数源泉・複数方向の説得状況における説得の2過程モデルの適用可能性

第2部:招待講演

16:00-17:30 北村英哉先生(東洋大学)
  穢れ忌避について

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発表予定:The 15th Asia-Pacific Conference on Vision

2019年7月29日〜8月1日に開催されるThe 15th Asia-Pacific Conference on Vision (APCV2019) において、当研究室の大学院生小林穂波さんがOral sessionにて成果発表を行います。

Kobayashi, H., & Ogawa, H. (2019/7/31). Reading direction influences the deployment of visual attention during word processing. Paper presented at Asia-Pacific Conference on Vision 2019, Osaka, Japan.

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日本認知心理学会第17回大会で「自人種顔と他人種顔に対する視覚性短期記憶の符号化速度」というタイトルでポスター発表を行いました(西村友佳)

この春からD2になりました。西村です。

5月25日(土)から26日(日)にかけて京都テルサにて開催された日本認知心理学会第17回大会でポスター発表を行いました。発表時間は25日(土)の10時から12時の間で、発表タイトルは「自人種顔と他人種顔に対する視覚性短期記憶の符号化速度」でした。

発表内容

人種効果(other-race/cross-race effect)とは、自人種顔の認識が他人種顔よりも優れている現象のことを言います。自人種顔の方が全体処理の傾向が強いこと(Ito & Urland, 2005)、N170(顔認識と関連が深い事象関連電位)の振幅が自人種顔の方が大きいこと(Zhou, G. et al., 2018)、自人種顔は短い呈示時間でも正確な短期記憶表象を形成することができること(Zhou, X. et al., 2018)から、自人種顔の方が他人種顔よりも熟達した効率の良い顔処理ができるため、人種効果が生じると考えられています。

しかし、これまでの先行研究では、記憶成績の時系列変化を詳細に検討していません。そのため、自人種顔の符号化が他人種顔よりもどれほど効率的なのか(速いのか)がわかっていません。また、先行研究では主に平均値の比較を行っているのですが、短期記憶容量には個人差があることが知られています。したがって、個人差を考慮しながら分析を行う必要があるのではないかと考えました。

そこで本研究は、階層ベイズモデリングを用いて個人ごとにパラメータを算出し、個人差を考慮しながら人種効果と符号化プロセスの時間的特性との関係を明らかにすることを目的としました。自人種顔の符号化は他人種顔よりも効率的かどうかを検討するため、記憶刺激の呈示時間を操作した短期記憶課題を実施し、課題成績から記憶容量と符号化速度を推定しました。

実験では、まず注視点が1秒間呈示された後、2人の顔が呈示されました(記憶刺激)。このときの呈示時間と人種を操作しました。呈示時間は、実験1では0.1秒から10秒の間、実験2と3では0.25秒から1.5秒の間で、試行ごとにランダムでした。自人種顔は一貫して日本人顔を使用しました。他人種顔は、実験1と2では白人顔を使用し、実験3では黒人顔を使用しました(※ 実験3は途中経過の報告です)。これら人種条件は、ブロックごとでランダムに呈示されました。また、顔の性別は、試行内で一貫するようにしました。次に、記憶刺激が呈示された後、マスク刺激が0.1秒間呈示され、続いてブランクが1秒間呈示されました。そして、画面上に顔が1つされました(テスト刺激)。実験参加者の課題は、テスト刺激が記憶刺激と一致するかどうかを回答することでした。尚、課題中は構音抑制を実施しました。実験参加者は、日本人大学生と中国・韓国出身の留学生でした。

分析ではまず、呈示時間ごとに記憶量の推定値であるCowan’s Kを算出しました(Cowan’s Kは、セットサイズ × ( hit – FA )によって求めることができます)。今回、どの実験においてもセットサイズ(記憶刺激の数)は2でした。次に、参加者ごとのデータ(横軸を呈示時間、縦軸をCowan’s Kとしたときのプロット)に曲線 y = a{ 1 – exp( –bt ) } を当てはめました。aは記憶量の最大値を決めるパラメータ、bは最大値に到達するまでの時間を決めるパラメータ、tは記憶刺激の呈示時間を意味します。モデルとしては、対数を取ったパラメータabが正規分布に従うという階層モデルを採用しています。そして最後に、符号化速度を算出しました。今回、符号化速度は曲線 y = a{ 1 – exp( –bt ) }の原点における接線としました。ですので、曲線を微分し、tに0を代入した値、すなわちa × bが符号化速度となります。こうして求めたパラメータの自人種条件と他人種条件の差分の事後分布を求め、自人種顔と他人種顔で記憶容量と符号化速度に違いがあるかどうかを検討しました。

実験の結果、他人種顔として白人顔を用いた実験1と2では、自人種顔と他人種顔の間で記憶容量にも符号化速度にも違いが見られませんでした。ただし、記憶容量と符号化速度に個人差があることがわかりました。一方、途中経過ではありますが、他人種顔として黒人顔を用いた実験2では、符号化速度は自人種顔と他人種顔で違いはないものの、呈示時間1秒以降の自人種顔の記憶容量が他人種顔よりも大きい傾向が見られました。このことから、人種効果は自人種顔で符号化速度が速いために生じるのではない可能性があると、今のところ考えています。

では、どのようにして短期記憶における人種効果が生じるのでしょうか。説明の候補の一つとして、自人種顔のワーキングメモリ(WM)ストレージの活性が、他人種顔よりも大きいことを考えています。Bready et al.(2016)では、よく見慣れたオブジェクトを記憶する際、色のような単純な刺激を覚えるときと比べてCDAの活性が大きいことが示されています。CDA(contralateral-delay activity)とは、エピソード記憶システムとは独立した、WMのストレージの活性を示す事象関連電位です。自人種顔の記憶においても、よく見慣れたオブジェクトを記憶するときと同様に、WMストレージの活性が他人種顔よりも大きいのではないかと予測しています。これについては、今後の検討課題です。

白人顔で人種効果が生じなかった理由として、メディアを通しての接触が考えられます。人種効果は、他人種顔に見慣れると生じなくなることが知られています。テレビや雑誌、インターネットなどを通して白人顔を見る機会が黒人顔よりも多いために、白人顔では人種効果が起きず、黒人顔では人種効果が生じていそうな傾向が現れているのかもしれません。また、白人顔セットが日本人よりも区別しやすく、覚えやすかった可能性も考えられます。

感想

ポスターセッションと並行して口頭発表セッションが行われているため、混雑しすぎることがなく、見にきていただいた方とゆっくりお話しできました。同じデータベースを用いて人種効果実験をやった方から、人種効果が生じた条件を教えていただいたり、実験課題の改善案を提案していただいたりと、今後の参考になるアドバイスを頂戴することができました。お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。

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