成果報告:The 15th Asia-Pacific Conference on Vision

2019年7月29日〜8月1日に開催されるThe 15th Asia-Pacific Conference on Vision (APCV2019) において、当研究室の大学院生小林穂波さんがOral sessionにて成果発表を行います。

Kobayashi, H., & Ogawa, H. (2019/7/31). Reading direction influences the deployment of visual attention during word processing. Paper presented at Asia-Pacific Conference on Vision 2019, Osaka, Japan.

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日本認知心理学会第17回大会で「自人種顔と他人種顔に対する視覚性短期記憶の符号化速度」というタイトルでポスター発表を行いました(西村友佳)

この春からD2になりました。西村です。

5月25日(土)から26日(日)にかけて京都テルサにて開催された日本認知心理学会第17回大会でポスター発表を行いました。発表時間は25日(土)の10時から12時の間で、発表タイトルは「自人種顔と他人種顔に対する視覚性短期記憶の符号化速度」でした。

発表内容

人種効果(other-race/cross-race effect)とは、自人種顔の認識が他人種顔よりも優れている現象のことを言います。自人種顔の方が全体処理の傾向が強いこと(Ito & Urland, 2005)、N170(顔認識と関連が深い事象関連電位)の振幅が自人種顔の方が大きいこと(Zhou, G. et al., 2018)、自人種顔は短い呈示時間でも正確な短期記憶表象を形成することができること(Zhou, X. et al., 2018)から、自人種顔の方が他人種顔よりも熟達した効率の良い顔処理ができるため、人種効果が生じると考えられています。

しかし、これまでの先行研究では、記憶成績の時系列変化を詳細に検討していません。そのため、自人種顔の符号化が他人種顔よりもどれほど効率的なのか(速いのか)がわかっていません。また、先行研究では主に平均値の比較を行っているのですが、短期記憶容量には個人差があることが知られています。したがって、個人差を考慮しながら分析を行う必要があるのではないかと考えました。

そこで本研究は、階層ベイズモデリングを用いて個人ごとにパラメータを算出し、個人差を考慮しながら人種効果と符号化プロセスの時間的特性との関係を明らかにすることを目的としました。自人種顔の符号化は他人種顔よりも効率的かどうかを検討するため、記憶刺激の呈示時間を操作した短期記憶課題を実施し、課題成績から記憶容量と符号化速度を推定しました。

実験では、まず注視点が1秒間呈示された後、2人の顔が呈示されました(記憶刺激)。このときの呈示時間と人種を操作しました。呈示時間は、実験1では0.1秒から10秒の間、実験2と3では0.25秒から1.5秒の間で、試行ごとにランダムでした。自人種顔は一貫して日本人顔を使用しました。他人種顔は、実験1と2では白人顔を使用し、実験3では黒人顔を使用しました(※ 実験3は途中経過の報告です)。これら人種条件は、ブロックごとでランダムに呈示されました。また、顔の性別は、試行内で一貫するようにしました。次に、記憶刺激が呈示された後、マスク刺激が0.1秒間呈示され、続いてブランクが1秒間呈示されました。そして、画面上に顔が1つされました(テスト刺激)。実験参加者の課題は、テスト刺激が記憶刺激と一致するかどうかを回答することでした。尚、課題中は構音抑制を実施しました。実験参加者は、日本人大学生と中国・韓国出身の留学生でした。

分析ではまず、呈示時間ごとに記憶量の推定値であるCowan’s Kを算出しました(Cowan’s Kは、セットサイズ × ( hit – FA )によって求めることができます)。今回、どの実験においてもセットサイズ(記憶刺激の数)は2でした。次に、参加者ごとのデータ(横軸を呈示時間、縦軸をCowan’s Kとしたときのプロット)に曲線 y = a{ 1 – exp( –bt ) } を当てはめました。aは記憶量の最大値を決めるパラメータ、bは最大値に到達するまでの時間を決めるパラメータ、tは記憶刺激の呈示時間を意味します。モデルとしては、対数を取ったパラメータabが正規分布に従うという階層モデルを採用しています。そして最後に、符号化速度を算出しました。今回、符号化速度は曲線 y = a{ 1 – exp( –bt ) }の原点における接線としました。ですので、曲線を微分し、tに0を代入した値、すなわちa × bが符号化速度となります。こうして求めたパラメータの自人種条件と他人種条件の差分の事後分布を求め、自人種顔と他人種顔で記憶容量と符号化速度に違いがあるかどうかを検討しました。

実験の結果、他人種顔として白人顔を用いた実験1と2では、自人種顔と他人種顔の間で記憶容量にも符号化速度にも違いが見られませんでした。ただし、記憶容量と符号化速度に個人差があることがわかりました。一方、途中経過ではありますが、他人種顔として黒人顔を用いた実験2では、符号化速度は自人種顔と他人種顔で違いはないものの、呈示時間1秒以降の自人種顔の記憶容量が他人種顔よりも大きい傾向が見られました。このことから、人種効果は自人種顔で符号化速度が速いために生じるのではない可能性があると、今のところ考えています。

では、どのようにして短期記憶における人種効果が生じるのでしょうか。説明の候補の一つとして、自人種顔のワーキングメモリ(WM)ストレージの活性が、他人種顔よりも大きいことを考えています。Bready et al.(2016)では、よく見慣れたオブジェクトを記憶する際、色のような単純な刺激を覚えるときと比べてCDAの活性が大きいことが示されています。CDA(contralateral-delay activity)とは、エピソード記憶システムとは独立した、WMのストレージの活性を示す事象関連電位です。自人種顔の記憶においても、よく見慣れたオブジェクトを記憶するときと同様に、WMストレージの活性が他人種顔よりも大きいのではないかと予測しています。これについては、今後の検討課題です。

白人顔で人種効果が生じなかった理由として、メディアを通しての接触が考えられます。人種効果は、他人種顔に見慣れると生じなくなることが知られています。テレビや雑誌、インターネットなどを通して白人顔を見る機会が黒人顔よりも多いために、白人顔では人種効果が起きず、黒人顔では人種効果が生じていそうな傾向が現れているのかもしれません。また、白人顔セットが日本人よりも区別しやすく、覚えやすかった可能性も考えられます。

感想

ポスターセッションと並行して口頭発表セッションが行われているため、混雑しすぎることがなく、見にきていただいた方とゆっくりお話しできました。同じデータベースを用いて人種効果実験をやった方から、人種効果が生じた条件を教えていただいたり、実験課題の改善案を提案していただいたりと、今後の参考になるアドバイスを頂戴することができました。お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。

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成果発表:日本認知心理学会第17回大会

2019年5月25日〜26日に開催される日本認知心理学会第17回大会において、当研究室の大学院生2名が成果発表を行います。

  • 西村友佳・小川洋和 (2019/5/25).自人種顔と他人種顔に対する視覚性短期記憶の符号化速度.日本認知心理学会第17回大会,京都テルサ(京都府京都市). 【ポスター発表】
  • 小林穂波・小川洋和 (2019/5/26).自己観の変化が視覚的注意のスポットライトの大きさを調節する.日本認知心理学会第17回大会,京都テルサ(京都府京都市). 【口頭発表】

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第6回KG-RCSP合同ゼミのお知らせ

2月27日にKG-RCSP合同ゼミを開催します。当研究室の4年生 小林穂波さんが話題提供をする予定です。興味のある方は是非ご参加ください。詳しくはこちらから。

【日時】2019年2月27日(水) 13:00-17:30
【場所】関西学院大学西宮上ケ原キャンパス F号館104教室

第1部:ゼミメンバーによる発表
(2019年4月に博士課程前期課程に進学する予定の学生による研究発表)
13:10-13:35 小林穂波(小川ゼミB4)
自己に関する概念の変化が視覚的注意による情報選択に及ぼす影響

13:35-14:00 田島綾乃(稲増ゼミB4)
オタクが持つメタステレオタイプによる趣味開示抵抗感の検討

14:00-14:25 長谷川凜人(三浦ゼミB4)
うわさが実現することが感情及び行動に及ぼす影響―「白紙物語」が現実になるとき―

14:35-15:00 牧野巧(三浦ゼミB4)
欺瞞意図はコミュニケーション中の強調表現の使用頻度や聞き手の欺瞞検知に影響するか?

15:00-15:25 水野景子(清水ゼミB4)
人はなぜ罰が存在している公共財ゲームにおいて非協力をするのか―確率的に罰がある状況での非協力と損失の確率価値割引—

15:25-15:50 中越みずき(OCUB4)
責任帰属と生活保護に関する情報への接触が生活保護政策への賛否に及ぼす影響

第2部:招待講演
16:00-17:30 武藤拓之さん(日本学術振興会特別研究員DC1・大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程3年)
視空間イメージ操作研究への挑戦:多面的視点のススメ

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成果発表:日本心理学会「注意と認知」研究会 第17回合宿研究会

日本心理学会「注意と認知」研究会 第17回合宿研究会において、4年生の小林穂波さんが口頭発表を行います。

  • 小林穂波・小川洋和(2019/3/3).自己に関する概念の変化が視覚的注意の焦点の範囲を調節する.日本心理学会「注意と認知」研究会 第17回合宿研究会.

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2018年度 卒論最終報告会のお知らせ

以下のとおり、卒論最終報告会を行います。口頭試問の練習会も兼ねておりますので、研究内容やプレゼン方法などについて、多くの方にご意見・コメントをいただければ幸いです。学部生・ゼミ関係者以外の方の参加も歓迎します(途中入退出可)。

日時:
2019年1月12日(土) 10:00〜17:00

場所:
関西学院大学上ヶ原キャンパス F302教室

発表時間:
発表5分+質疑応答15分
当日コメントペーパーを配布します。発表に対するフィードバックにご協力をお願いします。

プログラム:
<午前の部>
10:00 社会的孤独感がアニマシー知覚に与える影響
10:20 作業姿勢およびワーキングメモリ容量がマインドワンダリングに与える影響
10:40 課題非関連な聴覚妨害刺激による意味プライミング効果
(休憩)
11:15 感情喚起刺激を用いた連合再認における画像優位性効果
11:35 涙袋による目の知覚サイズの変化と顔魅力の関係
11:55 非共感覚者における計算課題を用いた色字共感覚トレーニング

<午後の部>
13:15 プライミングによるカテゴリーの活性化が色識別に与える影響
13:35 顔表情と背景画像の感情価の一致による記憶の促進効果
13:55 文脈情報としてのオノマトペが身体画像の情動判断に与える影響
(休憩)
14:30 両眼視野闘争における性別と笑顔の影響
14:50 知覚的変化に対する後付け的な意思決定の変容およびその時間特性
15:10 視聴覚刺激の連合による視覚運動知覚の誘発
(休憩)
15:45 女性の魅力は何で決まるのか?: 身体的魅力に視線方向が与える影響
16:05 日本大学生における音楽のレミニッセンスバンプへの両親からの影響
16:25 自己に関する概念の変化が視覚的注意のスポットライトの大きさを調節する

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論文採択:Consciousness and Cognition誌

当研究室の大学院生 白井理沙子さんの研究成果をまとめた学術論文が学術誌「Consciousness and Cognition」に採択されました。

Shirai, R., & Ogawa, H. (2019). Trypophobic images gain preferential access to early visual processes. Consciousness and Cognition, 67, 56–68. https://doi.org/10.1016/j.concog.2018.11.009

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論文採択:Attention, Perception, & Psychophysics誌

当研究室の大学院生 白井理沙子さんの研究成果をまとめた学術論文が学術誌「Attention, Perception, & Psychophysics」に採択されました。坂野逸紀さん(現所属 首都大学東京 知覚運動制御研究室)との共同研究です。

Shirai, R., Banno, H., Ogawa, H. (2018). Trypophobic images induce oculomotor capture and inhibition. Attention, Perception, & Psychophysics. https://doi.org/10.3758/s13414-018-1608-6

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成果発表:日本認知心理学会第16回大会

2018年9月1日〜2日に立命館大学大阪いばらきキャンパスで開催される日本認知心理学会第16回大会において、当研究室の大学院生 清水千景さんが成果発表(ポスター発表)を行います。

  • 清水千景・小川洋和 (2018/9/2).⾊および情動による時間知覚への影響.日本認知心理学会第16回大会,立命館大学(大阪府茨木市).
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成果発表:Vision Sciences Society 2018

2018年5月18日〜23日にアメリカのフロリダ州St. Pete Beachで開催される2018 VSS Annual Meetingにおいて、当研究室の大学院生 白井理沙子さんが成果発表(ポスター)を行います。

  • Shirai, R., & Ogawa, H. (2018, 23th May). Integrated effect of gaze cueing and valence of ‘gazed’ objects on facial trustworthiness. Paper presented at the 2018 VSS Annual Meeting, St. Pete Beach, FL.
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