M1の小林です。 11/14にカナダ・モントリオールで開催されたObject Perception, Attention & Memory (OPAM) で研究発表をしました。
【研究内容】
わたしたちの周囲にはたくさんの視覚情報がありますが、それらすべてを一度に処理することはできません。そこで、視覚的注意という選択システムをつかって、必要な情報を選択することが必要になります。特に空間的な情報に基づいて選択をするメカニズムのことを、空間的注意と呼びます。この空間的注意の特性を調べるために、古くから用いられてきたのがフランカー課題です。今回の研究では、フランカー課題における注意選択の過程を数理的に表現することを試みました。
過去の研究では、フランカー課題の試行の最初には、画面に表示されている刺激全体に広く注意が分散しており、試行内の時間経過に伴って、注意が中央の標的刺激に向けて収斂していく「縮小スポットライトモデル」が提案されていました。わたしたちは「フランカー課題の刺激間距離が広がると、妨害刺激からの干渉が減少する」という刺激間距離の効果を説明できるようにこのモデルを拡張しました。さらに、これまで刺激間距離の広がりに伴う干渉の減少は正規分布にたとえられることがほとんどでしたが、今回の研究で、正規分布よりもさらに中心への収斂度が高く、かつ裾の重い分布にたとえるほうがデータを適切に表現できる可能性を示唆しました。
【感想】
多くの人に来ていただけて、とても充実した発表になりました。古典的な課題であるフランカー課題を使って何か新しいことをやろうとしている、という点を評価してもらったように思います。特に今回は共同研究者として経験のある先輩・先生と一緒に発表準備を進めることができ、学ぶことの多い学会になりました。他の発表も新鮮なものが多く、来年もぜひ参加したいと感じました。
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